これから福祉施設を開業しようとしている人にとって、そもそも福祉施設をどのような建物にするかは非常に重要なポイントです。ここでは福祉施設の建築に関する様々な情報を見ていきましょう。
建築基準法に照らし合わせると、福祉施設に求められる建築基準は、「部屋の広さ(定員)」「採光」「耐火・準耐火構造を含む防火設備」「廊下の幅」の4要素です。これらの要素に求められる数値は、対象となる建物がどのような目的の福祉施設かによって異なります。部屋の広さと廊下の幅に関しての基準は以下のとおりです。
福祉施設には食堂や機能訓練室といった設備の設置が求められます。必要な設備の種類は福祉施設によって異なるほか、居室、静養室、食堂、浴室、機能訓練室は建物の3階以上に設置するための条件が定められているので注意しましょう。
建物の構造が異なれば、必然的に建築コストや耐久性、耐火性といった性能も異なってきます。代表的な建物構造の種類とメリット・デメリットをしっかり把握し、最適な建物構造の福祉施設を建てましょう。
コンクリートに鉄筋を埋め込んで耐久性と耐用年数を高めた構造です。約47年という高い耐用年数を持ち、コンクリート製なので耐久性や耐火性も高いのが大きなメリット。加えて、高い気密性もあるので温度変化に強いというメリットもあります。
反面、高い耐久性と耐用年数の代償として建築コストがどうしても高くなってしまいます。また、建物自体が重いので工事の際には地盤強化工事が必須。解体費用も高くなってしまいます。
柱や梁といった建物の骨組み部分に厚さ6mm未満の鋼材を用いた構造です。工法としてはプレハブ工法が一般的で、主に2階建の戸建てやアパート、小型店舗に使用されます。
軽量鉄骨造に用いられる部材は大量生産品なのでコストが大幅に抑えられるのが大きなメリットです。また、同じ理由から品質の差が少なく安定した品質が期待でき、さらに工期も短いです。
デメリットは、高温による変形が起こりやすいので強度が落ちやすい点。また、通気性や断熱性が悪いので、寒い土地・暑い土地には向かないでしょう。
梁や柱といった部分を日本伝統の木造軸組工法を用いて作る構造です。アパートや福祉施設だけでなく、国内の戸建て建築のほとんどは木造建築で建てられています。
木造なので材料費をある程度抑えられることに加え、木造ならではの通気性の良さと高い耐震性が大きなメリット。加えて、軽量なので多くの場合地盤強化工事が必要ありません。
ただし、木造なのでどうしても耐用年数は短く、約22年となっています。また、シロアリなどの害虫被害が起こるので、安全性を確保するためにはその対策が必須です。