福祉施設を設計から取り組む際、どのような点に気をつけなくてはならないのでしょうか。ここでは、福祉施設の設計や設備で抑えておくべきポイントや注意点を解説しています。
福祉施設の設計でまず重要なのが、施設入居者を守るために安全対策がしっかりとなされているかです。高齢者にとって、思わぬ転倒や転落は命取りです。万が一、転倒した場合にも、怪我のリスクを最大限抑える工夫がされているかを確認しましょう。
福祉施設のデザインは、入居者の健康に大きな影響をもたらすと言われています。外観はもちろん、デザイン性にすぐれた内装は利用者のQOL向上や職員の満足度向上につながるのです。誰にとっても落ち着いて過ごせるような、心地よいデザインを心がけましょう。
福祉施設では、手すりの高さを調節できる、段差のない床や見やすい表示があるなど、高齢者が過ごしやすい機能的な設計がされているかが重要です。さらに、働くスタッフの動線を整えることで業務効率アップや従業員の満足度向上にも寄与します。
福祉施設では、さまざまな高齢者の方に対して公平な対応が求められます。そのため、建物のバリアフリー化は必須です。提供するサービスや利用者の特性に応じて、計画的に間取りや仕様を決めなくてはなりません。
例えば、車椅子での移動を想定して廊下やフロア、ドアの設計には配慮が必要です。車椅子の利用者同士がすれ違っても衝突する危険性がなく、スムーズに通行できるよう広めの設計にすることが大切です。
福祉施設に設備を設置する際には、法的基準を満たしている必要があります。各基準は施設を置く自治体によって異なりますので、建設前に必ず確認しましょう。また、保健福祉省や社会福祉省、教育省など、満たすべき基準を規制・施行している公的機関もさまざまです。これらの基準をすべて満たすほかにも、継続的な安全性を確認するために定期検査を受ける必要があります。
違反が見つかると、高額な罰金を課される可能性があります。最悪の場合は施設全体の閉鎖につながるおそれもありますので、設備の基準は必ず守り、問題があれば迅速に対処しましょう。
福祉施設は、設計段階で地域住民や利用者の意見を聞き、意見を設計に反映させることが求められます。なるべく設計の早い段階で高齢者の方々から直接意見を聞く、またはアンケート調査やグループディスカッションで収集するなど、さまざまな方法で意見を集めます。
地域の方々との対話も重要です。地域特有のニーズや嗜好を事前に把握しておけば、施設を建設する前に意見を取り入れられます。地元の代表者に意見収集やディスカッションの場に参加してもらうのもひとつの手です。
地震や火災などの非常事態が発生したときを想定して、施設内の利用者の誘導や避難場所の確保、情報伝達のための設備などを備えているかが大切です。
自ら避難するのが難しい高齢者をスムーズに誘導して避難させるために、マニュアル作成や定期的な訓練計画について検討しましょう。
福祉施設は、建物のバリアフリー化に加えて特殊な設備も必要です。そのため、一般的な建物と比べて費用がかかります。設計段階から予算感を把握しておき、見通しを立てておくことが大切です。